1. 鉄筋の種類とその役割を理解する
基礎工事に使われる「鉄筋(てっきん)」は、コンクリートの中に埋め込まれて建物の土台を強化する重要な部材です。コンクリートは圧縮には強いのですが、引っ張られる力には弱いため、鉄筋で補強することで強度を高めます。
使用される鉄筋には主に「異形鉄筋(いけいてっきん)」という表面に凹凸のあるタイプが使われます。この凹凸によってコンクリートとの接着力が高まり、建物全体の耐久性が増します。工事現場では「D10」や「D13」など、鉄筋の太さを示す表記がされます。例えば「D13」は直径13mmの鉄筋です。
住宅の規模や地域の地盤の強さによって適した鉄筋の種類や太さが変わってくるため、設計図に沿った材料が使われているかをチェックすることが大切です。
2. 鉄筋の配置と間隔が構造の安全性を左右する
鉄筋は、ただ埋め込めばいいというわけではありません。正しい「間隔(ピッチ)」で、きちんと配置されることが、地震などの揺れに耐える丈夫な基礎をつくるカギとなります。
たとえば、基礎の「立ち上がり部分」や「ベース部分」では、鉄筋を縦横に組んで、格子状(スラブ筋や主筋など)にします。このとき、鉄筋同士の間隔が設計図に示された数値(たとえば20cmごとなど)からズレてしまうと、構造強度が大きく落ちてしまいます。また、鉄筋が地面に近すぎると、湿気でサビやすくなり、寿命を縮めてしまう可能性があります。
工事中には、現場監督や第三者機関による「配筋検査」が行われますが、可能であれば施主ご自身でも、写真を撮っておくなどの形で記録を残しておくと安心です。
3. コンクリート打設前の清掃と点検が仕上がりを左右する
鉄筋を組み終えた後、コンクリートを流し込む前に行う「清掃」や「点検」も、非常に重要なステップです。基礎の型枠(かたわく)の中には、風で飛んできたゴミや落ち葉、土ぼこり、水たまりなどが溜まっていることがあります。これらが残ったままコンクリートを打設すると、空洞ができたり、鉄筋がうまくコンクリートに包まれなかったりするリスクがあります。
また、鉄筋にサビが発生していないか、必要なスペーサー(鉄筋を所定の位置に保つための部材)が正しく設置されているかなども確認すべきポイントです。工事が進むと見えなくなる部分だからこそ、きちんと清掃され、細かく点検された状態でコンクリートが打設されることが、長く安心して暮らせる家につながります。
以上のように、基礎工事は住宅の「見えなくなる最も大切な部分」と言っても過言ではありません。現場任せにせず、必要に応じて現場を見学したり、専門家に確認してもらうことで、安心できる家づくりを進めていきましょう。